
From:三原成寛
あなたは、家を建てるとき【建物の性能で重視すること】はなんですか?
- エアコン効率が良かったり、電気代などの経済的効果が高い『省エネルギー性』な家?
- 将来のリフォーム費用もおさえられて、それでいて長持ちする『高耐久性』な家?
- 大地震がこわい!地震で家が傾いたり崩れたりしない『耐震性』の高い家?
いろいろ家づくりにかける思いはあるでしょう。
実はそんなあなたに、興味深いデータがありましたので共有したいと思います。
住宅ローンのひとつである、フラット35を提供している住宅金融支援機構が、住宅事業者・一般消費者およびファイナンシャルプランナーに対し、今後の住宅市場に関する事項について独自にアンケート調査を実施し、その結果を取りまとめたデータ資料です。
いろんな項目のアンケート結果がありますが、その調査結果の中に、【建物の性能で重視する事項は?】という結果が実に興味深い!
性能事項の中には、『省エネルギー性・高耐久性・耐震性・耐火性・バリアフリー性』など、他にもいくつかの事項がありましたが、両者とも圧倒的に高かったのが『省エネルギー性・高耐久性・耐震性』の3つ。
これからお見せする調査結果は、家づくりをする方を含め、工務店や設計事務所、ハウスメーカーの方たちも目を通しておいたほうがいいかもしれません。
住宅の性能を重視する事項トップ3
以下、性能トップ3+αを簡単にまとめた資料です。
※詳細データは、最後に添付します。
赤いグラフは【一般消費者】
青いグラフは【住宅事業者】
データを見てみると、
【高耐久性】は、一般消費者が『73.5%:1位』に対し、住宅事業者は『53.8%:3位』
【耐震性】は、どちらも2位で統計数も横ばい
【省エネルギー性】は、一般消費者が『43.9%:3位』に対し、住宅事業者は『89.3%:1位』
何が言いたいかというと、家を求める側の一般消費者と、家を提供する側の住宅事業者、両者の【高耐久性】と【省エネルギー性】の重視する割合が違く真逆だということ。
住宅事業者が、
『うちは、省エネの家で夏はすずしく、冬はあたたかいですよ!』
とセールスしたところで、一般消費者がもっとも求めているのは、
『それも大事なのは分かるけど、将来なるべくお金がかからず長持ちする家なんだよね~』
だということ。
それもそのはずですよね。
何千万円ものお金で家を建てたはいいが、短い期間で何十万、何百万円と修繕費がかかり、30年程度しかもたない家なんてなるべく住みたくはありません。
さらに興味深いデータがありました
調査結果をよく見てみると、さらに興味深いデータがあることに気づきました。
図①で、白い四角で伏せていた事項です。
さあ、なんでしょうか?
勘の良いあなたなら、もうお気づきですね。
そう。【防犯性】です。
※一番下の事項
防犯性の高い家を、一般消費者が【12.3%】求めているのに対し、住宅事業者は【3.9%】しか重要だと思っていません。
つまり、マイホームを求める一般消費者の中には、10組中1組程度の人が防犯性を気にしているのに対し、防犯性も考慮した家を提案できる住宅会社は、100件中4件程度しかいないということです。
需要はあるけど、供給する側が圧倒的に少ない。
需要と供給のバランスが崩れていますね。
そうすると、どういう現象が起きるでしょうか。
マイホームを求める一般消費者が、防犯性も考慮して設計してほしいと願っても、供給する側の【防犯意識・防犯知識】が乏しく、土地購入時からその土地に合わせた【防犯設計】のスキルがないため、求められてもせいぜい
『防犯ガラスや防犯カメラをつけましょう』
と物理的対策を提案する程度。
最悪なのは、
『警備会社のホームセキュリティーシステムを入れておけば大丈夫ですよ』
と投げやり対策。
私自身、一級建築士事務所で接客をしていたときの経験ですが、やはりデータ通り10組中1組はすでに防犯性を気にされていました。
さらに、防犯設計の重要性をお伝えすると10組中4組は、
『そういう提案ができる住宅会社を探していたんですよ』
『どこの会社も言うことは、高気密高断熱、省エネとかで正直違いが分かりませんでした』
となり、防犯の重要性に気付いてくれ、土地購入時から防犯性を考慮した家を設計したのが何件もありました。
災害は地震や水害、火事だけではありません。空き巣や放火など、人が災いを起こす人災だってあります。
私は、このデータを見て一刻も早く、住宅事業者が設計の段階から考える防犯住宅を当たり前のように提案でき、本物の安心安全な家が全国にたくさんできることを願ってやみません。
PS
本文でお話した、住宅金融支援機構のデータです。
下記をクリックすると、その他の詳細な調査結果が閲覧可能です。
住宅金融支援機構調査結果【平成30年度:住宅市場動向について】
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